ミッションは修了生のビジネスイノベーション

600名を超える多様性を持つ修了生

本大学院MOTの修了生は20期の修了生を含め640人(2025年4月)に上り、年齢、経営/勤務する会社の規模、業種/業態、職種/職位などで「多様性」が進んでいます。 

この修了生の「多様性」はビジネスにおける補完的関係を生みやすいポテンシャルとなり、修了生間の連携による新たな技術/製品/新業態/ビジネスモデルの開発、新規顧客開拓、新事業創造等のビジネスイノベーションを生む苗床として位置付けられます。

弱結合の靭さ

本大学院MOTの院生は1年間の学びを通じて、MOTに関する共通的な知識/知見を修得するだけでなく、
①院生相互の深い信頼関係
②互いを認め合える価値観の共有化
③イノベーション指向
といった事業意識の共通的方向性を醸成してきました。

 

この3つの要素によって同期の大学院生間に「弱結合」が形成されているようです。

この「弱結合」は、修了生の化学反応を促進しビジネスイノベーションを具現化する重要な役割を果たしています。

センター支援によるエコシステムの形成

中小企業イノベーションセンターは、前掲の特徴をもつ修了生のビジネスイノベーションを支援することを目的に2023年4月に設立されました。

中小企業イノベーションセンターでは、修了生の「多様性」に注目して「弱結合」を拡大/深化させることで修了生間に多様な化学反応を引き起こす触媒的役割を果たしています。この触媒的役割によって、修了生等との連携が新たな化学反応を生み、自然発生的にビジネスイノベーションが持続的に起こる「エコシステム」の形成を目指します。

心の繋がりを基にしたエコシステム

異なる技術/製品を持つなど中小企業の「多様性」だけでは、新たな技術/製品/業態/ビジネスモデルなどが生まれるわけではありません。そこには経営者間の「心の繋がり」が不可欠です。「心の繋がり」は、経営者間における信頼関係、価値の共有化、同じ意識の方向性を担保した「弱結合」が不可欠です。すなわち、「エコシステム」の形成には、「多様性」だけでなく「弱結合」が不可欠な要素となります。「エコシステム」が機能するようになれば、図(塑性加工の中小企業を事例)に挙げるような成果が期待されます。


エコシステムの形成を目指した支援事業

中小企業イノベーションセンターでは、「エコシステム」の成熟を3つの段階に分けて支援事業を展開することを基本方針としています。

当面は第1段階の支援事業を中心に行い、第2段階の支援事業を徐々に手掛ける方向で進めています。

 

第1段階: 修了生間で期を超えた「弱結合」の形成

1期から20期までの各期における修了生は1年間を通じて「弱結合」が形成されていることが推察されます。

しかし、期を超えた「弱結合」はあまり進んでいないようであり期を超えた交流事業を中心に推進します。

 

既に、本大学院MOTには修了生が主体となって運営する同窓会、MOT倶楽部の交流組織があります。

 

これら組織による修了生の期を超えた「弱結合」の形成に期待しつつも、中小企業イノベーションセンターにおいても、交流促進事業として、トップリーダー(経営者等)を対象とした「トップリーダー鼎談会」、 「経営危機を乗り越えるトップリーダー研究会」(仮称)などを展開しつつあります。

第2段階: ビジネスイノベーションの事例づくり

第2段階では、中小企業間連携による新たな技術/製品/業態/ビジネスモデルなどの開発/事業化の成功事例のモデルとして具体化します。

 

そうすることによって、修了生に目に見える形で「エコシステム」を活用したビジネスイノベーションを理解してもらい、修了生が「自分たちもやってみよう」という思いを高めることになります。

 

既に、中小企業イノベーションセンターが中心となって修了生の参加のもと、「新技術/新製品開発構想部会」「特定課題研究成果事業化支援部会」等を組織化し、成功事例づくりに取り組んでいます。

 

この他に、中小企業診断 士の実践力向上に向けて本大学院MOT修了の中小企業診断士を対象に「高度コンサルタント研修事業」を実施しています。

 

第3段階: オープン型エコシステムの形成

第2段階までは本大学院MOTの修了生を対象に事業展開を行いますが、第3段階では本大学院以外の経営者、技術者等を取り込んだ「オープン型エコシステム」の形成を目指します。

 

中小企業イノベーションセンターでは、主に修了生の紹介を窓口に外部人材との「弱結合」を図ることを目指しています。こうした「エコシステム」のオープン化によって「オープン型エコシステム」の形成が進み、本大学院 MOTの拠点性が拡充されることを期待しています。


結びに

SMEICが、本研究科においてエコシステム形成を進め修了生の「共創」の場となるように、修了生及び教職員の積極的な参画、協力をお待ちしております。

  

 

中小企業イノベーションセンター

 

セ ン タ ー 長   小田  恭市

 (学長補佐、教授、評議員)